種子こそ農業の基本。野菜の品種とともに70年、そして未来へ。

大根病害レポート
栽培ポイント・病害虫対策

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農薬を使用する場合は、地域、出荷団体もしくは出荷先の登録・使用基準に従って下さい。

1. 黒斑細菌病 こくはんさいきんびょう

まるちゃん風雨により葉に傷ができたところから細菌が侵入して、葉に黒い斑点ができ病斑が拡大、更に根に侵入して黒変する。
土壌水分が多く根の活力が弱くなり、ミネラルや微量要素の吸収が悪くなると多発する。

  • 成分のバランスの良い施肥と排水の良い畑作りをする。
  • 風雨で葉が痛んだときは早めに登録のある殺菌剤で予防する。
  • 苦土などのミネラルの葉面散布により、葉を強くして病気の拡散を防ぐ。

2. 軟腐病 なんぷびょう

軟腐病 なんぷびょう細菌によって引き起こされる。細菌は傷口から侵入する。
主な傷口は本葉4~6枚頃に根の肥大とともに葉の間が割れてできる。
窒素肥料が多かったり、地温が高くなって土中の有機物から窒素が多く供給されたときに多発する。

  • 本葉4~6枚頃に登録のある殺菌剤を散布して予防する。
  • 薬剤は菌が侵入する前に散布する。侵入後の治癒は難しい。
  • 窒素肥料を少なくして、肩の割れを少なくする。

3. 黒斑病 こくはんびょう

軟腐病 なんぷびょうアルタナリア菌による病気である。トンネル、ハウス栽培など夜温が低くなり、肩に凍害を受けて組織がもろくなったり、枯葉が肌に付着して多湿になると菌が繁殖して肌荒れを起こす。
露地栽培でも弱日照多湿で発生する。

  • ハウス、トンネル栽培では防寒と換気に注意する。
  • 登録のある殺菌剤を散布して予防する。

4. ワッカ症(白さび病)

軟腐病 なんぷびょう白さび病菌が皮目に侵入して引き起こされる。収穫期後半に症状が出てくることから、菌の侵入は皮目形成期と思われる。
間引き頃の弱日照多湿で多発する。
病班は皮目に沿って円形状にできる。
肥大してくると縦割れになることもある。

  • 目形成期(本葉5~7枚頃)に白さび病の防除を行なう。
  • 播種時に登録のある殺菌剤を使用すると効果がある。

5. ジャガイモそうか病

軟腐病 なんぷびょう放線菌による病害。多犯性のため輪作しても発病する。
生育前半が高温乾燥していると多発する。

  • 土壌消毒をする。
    ジャガイモにソウカ病が出た畑の作付は避ける。
  • 土壌水分があれば発病しにくいので播種前の潅水や初期の潅水を行う。
  • 深耕せず保水性のある畑作りをする。

6. コブ症

軟腐病 なんぷびょう線菌によって引き起こされるといわれているが、高温乾燥による障害と思われるケースが多い。
播種後20日前後の高温乾燥で多発し、15日以前や25日以降の高温乾燥では発病しにくい。
ヒゲ根形成期の高温乾燥が影響すると思われる。

  • 夕方や早朝に耕耘鎮圧して土壌水分を確保する。
  • 播種の深さを2~3cmにする。深耕せず保水性のある畑作りをする。
  • 高温乾燥期は播種前や播種後15~20日頃に潅水する。

7. 亀裂褐変症 きれつかっぺんしょう

軟腐病 なんぷびょうリゾクトニア菌による病害。
生育初期の多湿と未熟有機物によって菌が繁殖する。
初生皮層に発生すると被害が出やすい。

  • 浅く耕起して前作の残渣や未熟な有機物の分解を促進する。
  • 元肥は播種する15日以上前に散布耕耘しておく。
  • 播種時に土壌殺菌剤を土壌に混和する。

8. 葉腐れ症状 はぐされしょうじょう

軟腐病 なんぷびょう雨の後、弱日照高温が続くと多発する。
病原菌はリゾクトニア菌といわれている。
地面に接触している葉から腐敗し、菌の付着した土や罹病した葉が付着して拡大する。
大雨でヒゲ根が傷み、葉内部が窒素過多になって腐敗しやすくなる。

  • 排水の良い畑作りと苦土などの葉面散布で被害を軽減する。

9. 横縞症 よこしましょう

軟腐病 なんぷびょう生育初期の土壌乾燥で発症する。
皮目に沿ってへこみ、褐色のスジになる。
播種後25日までの乾燥が激しいほど被害が大きい。

  • 乾燥が原因のため、保水性のある畑作りが必要。
    深耕や耕耘の回数が多いと乾燥しやすくなる。乾燥している時期は潅水してから播種する。
  • 播種後に乾燥した場合は20日目頃に株元に潅水する。

10. 赤芯症

軟腐病 なんぷびょう高温障害。
生育後半に地温が22度以上の高温が続くと根の内部が赤褐色に変色する。
辛味、苦味が強く食味が落ちる。ホウ素欠乏を起こすと激発する。

  • ホウ素を施肥する。
  • 高温期の栽培は地温を上げない白黒、シルバーマルチを使う。
    透明、黒マルチは播種後30日以内に除去する。
  • 生育期間が長くなると障害が激しくなるのでLサイズ中心に早めに収穫する。

11. 側根部空洞症 そっこんぶくうどうしょう

軟腐病 なんぷびょうヒゲ根の出る基部が凹みや空洞ができる症状。
石灰窒素を施肥してすぐ播種すると激しく発生する。
化成肥料と石灰を同時に施肥してすぐ播種した場合も出やすい。

  • 肥料は早めに施肥耕耘しておく。
  • 石灰と化成肥料、農薬の同時施用は避ける。

12. 苦土欠乏による黄化症状

軟腐病 なんぷびょう土壌に苦土があっても低温乾燥すると根からの吸収ができず欠乏して黄化することがある。

  • 肥苦土の施肥を行なう。
  • 症状が見られた場合は早めに葉面散布する。